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【第30回JTF翻訳祭2021】(1)

前回の記事↓

ip-related-english-helper.hatenablog.com

に書いたように今年の夏は初めて日本通訳翻訳フォーラム2021に申し込んでみて良かったなと思ったので、調子に乗ってJTF翻訳祭にも初めて申し込んでみました。

今日までの間にリアルタイムで視聴できたセッションは以下の3つです。

(A)この3人だから話せる!「ビジネス」としての翻訳業~「好き」で始めた翻訳を
長く続けるための現実的なお話~
 齊藤 貴昭さん(翻訳者)
 松本 佳月さん(フリーランス技術英訳者)
 酒井 秀介さん(通翻訳者のコミュニティ『カセツウ』)

(B)これからキャリア転換をして通訳者になる人に
 白倉 淳一さん(日英会議通訳者)

(C)Introduction to U.S. Patent Editing for Translators
 COPELY BRADさん (COPELY IP+ Principle Managing Partner)

(A)はこれから翻訳者になろうとしている人や翻訳仲間を探している人に、(B)は通訳者になりたいと思っている人に、特におすすめだと思いました。(C)も興味深い情報が色々ありました。機械翻訳が特許翻訳業界に与えている影響にどのようなものがあるかについて興味がある人におすすめかもしれません。

リアルタイムで視聴できずに録画で視聴したのは下記(D)です。初心者向けかもしれませんが面白かったので、家計のことに興味がある方にはかなりおすすめです。


(D)欧米のお金教育から学ぶ、今からはじめる家計の経済学
 冨山 悦子さん(MDRT成績資格会員)

その他にリアルタイムで視聴できそうで興味があるのは下記(E)です。

(E)医薬品が発売されるまで(特にCMCについて)
 小池 晴夫さん(Koike Consulting Service)


リアルタイムでは視聴できなさそうですが録画で後から視聴しようと思っているのは下記の2つです。

(F)海外の翻訳会社の選び方・つきあい方
 原 真理恵さん(株式会社RWSグループ)
 マイアット かおりさん(Word Connection sarl)
 松田 浩一さん(英日翻訳工房)


(G)新しい翻訳英文法:訳し上げから順送りの訳へ
 水野 的さん(MITIS 水野翻訳通訳研究所)

既に見逃してしまい、視聴したいけれどまだなのは下記(H)です。Memsourceというものを使ったことがないので気になります。

(H)AI世代の翻訳管理システムについて考える:新しくなったMemsourceとMemsource Translate(サポーターウェビナー)

 バイエル 美和さん(Memsource a.s.)
 石井 潤一さん(Memsource a.s.)
 澤井 真佑子さん(サイボウズ株式会社)
 中島 晃一 さん(サイボウズ株式会社)

当たり前かもしれませんが、日本通訳翻訳フォーラム(日本会議通訳者協会)と、JTF翻訳祭(日本翻訳連盟)とでは、やはり随分雰囲気が異なるのですね。そんなことに今頃気づき、今度は日本翻訳者協会(JAT)はどんな感じなのかということにも興味が湧いてきました。

日本通訳翻訳フォーラム2021

今年の夏は初めて日本通訳翻訳フォーラム2021に参加しました。

参加とはいってもリアルタイムでの参加は一切できませんでしたがアーカイブ動画の見逃し配信でいくつか視聴することができました。観たいなと思っていたセッションの全てを観ることはできませんでしたがどうしても観ておかなくてはと思っていたものはほとんど観ることができました。

普段はなかなか聞けなさそうなプロの通訳者&翻訳者のお話を色々聴くことができたので参加して良かったです。なお、私はJACI会員ではないため一般チケット9800円を購入しました。

私が視聴したのは以下のセッションでした。

Andrew Gilliesさん(逐次通訳:記憶とノートテイキング
Judy Jennerさん(コロナ時代の通訳価格設定)
Naomi Bowmanさん(RSIの音声設定:理想的な作業環境の作り方)
矢能千秋さん(「出版、夢だよね」と言ったあの日から、『きみがまだ知らない恐竜』シリーズが出るまで)
白倉淳一さん(はじめての元請)
丹埜段さん(通訳者・翻訳者の市場価値)
Debra Russellさん(なぜノートテイキングが必要なのか?)
Matthew Perretさん(通訳に活かせる演技スキル)
グリーン裕美さん(実践!通訳トレーニング)
渡邉ユカリさん(翻訳者になるため、続けるためのヒント)
毛利雅子さん(日本における司法通訳の現状と展望)
牛窪万里子さん(理解しやすい日本語通訳の伝え方~音声表現を意識する)
星野靖子さん(翻訳・通訳の調べ物とコーパス最新事情)
巽美穂さん、ブラッドリー純子さん、セリーヌ・ブラウニングさん(あれから1年半~RSIの過去・現在・未来を語る)

いずれの講師もお話が上手で最初から最後まで興味深く視聴することができました。司会も素晴らしかったです。

英語の講義にはリアルタイムで視聴すれば同時通訳も付いていたので次回があればぜひリアルタイムでプロの同時通訳をじっくり聴いてみたいです。

何人かの講師の方が執筆に関わっていておすすめしていた「通訳の仕事 始め方 続け方」という本↓をAmazonで予約していたのですが、今日届きました。

以前通訳学校に少し通っていたことがあり、今は細々と英語の訓練を続けているだけなのですが、この本を読んで、また本格的に訓練を再開する勇気を取り戻せたらなぁと弱気ながらも希望を持っています。

 

 

 

IBMの修正訴状に対する「楽天」の対応について(1)

前回の記事↓

ip-related-english-helper.hatenablog.com

から大分空いてしまいました。始めたばかりのブログで大してアクセスも増えないまま更新をサボるとアクセスが安定のゼロに戻ってしまいますね(^^;)。

その後、訴訟はどうなったのか気になり調べてみたところ、ちょうど昨日9/7に「楽天」が訴え却下の申立て等の対応をしたばかりのようです。

IBMの次の回答期限は9/22ですが、間違いなく延長されるでしょうから、次の動きがあるのはもっと先になりそうです。

楽天」による上記の対応には反訴(counterclaim)も含まれていたので、その内容を知るために反訴状(?)をダウンロードしてみました。

次回以降の記事でその内容について見ていきたいと思います。

 

IBMの修正訴状に対する楽天の対応について

前回の記事↓

ip-related-english-helper.hatenablog.com

から大分空いてしまいました。始めたばかりのブログで大してアクセスも増えないまま更新をサボるとアクセスが安定のゼロに戻ってしまいますね(^^;)。

その後、訴訟はどうなったのか気になり調べてみたところ、ちょうど昨日9/7に楽天が訴え却下の申立て等の対応をしたばかりのようです。

IBMの次の回答期限は9/22ですが、間違いなく延長されるでしょうから、次の動きがあるのはもっと先になりそうです。

楽天による上記の対応には反訴(counterclaim)も含まれていたので、その内容を知るために裁判書類を少しダウンロードしてみました。

次回以降の記事でその内容について見ていきたいと思います。

 

IBMが修正した訴状に新たに追記された2つのIBM特許

 

本シリーズのはじめの方の記事↓ 

ip-related-english-helper.hatenablog.com

ではIBMの最初の訴状1の概要について書きましたが、今回は、「楽天」によるMotionに対してIBMが修正した訴状2について少しだけ書きます。 

この訴状2は訴状1よりもさらに長編でダウンロードするとかなりの費用がかかってしまいます。また、この訴訟はかなりだらだらと長引く予感がしますので、今回は訴状2をダウンロードすることは諦めました。

IBMが修正した訴状2に新たに追記されたIBM特許がどれか、ということだけ書いておきたいと思います。以下の2つです。いずれも対応する日本特許は無いようです。

米国特許第9569414号

発明の名称:Method, framework, and program product for formatting and serving web content
特許権満了予定日:2027-08-08

米国特許第7076443号

発明の名称:System and technique for automatically associating related advertisements to individual search results items of a search result set
特許権満了予定日:2023-06-21

今後について

今後もこの裁判の行方を随時確認しながら、興味深いことがあれば、また話題にしていければ良いなと思っています。

米国でIBMに提訴された「楽天」の最初の反撃の内容(3)

前回の記事↓ 

ip-related-english-helper.hatenablog.com

 の続きです。

「IV. ARGUMENT」では、既になされている楽天の主張の法的根拠が説明されています。このうち、「C. The Complaint Fails To State a Claim for Infringement Against any U.S. Defendant for Actions of Another Defendant」のところには 

As has been previously explained to IBM, the accused instrumentalities are solely owned and operated by Rakuten Rewards—not by any of the defendants named in the Complaint. Nevertheless, even if, arguendo, one or more of them did own and operate the accused instrumentalities—they do not—the Complaint would still fail to state a claim for infringement since it fails to plausibly allege that any of the U.S. Defendants is liable for the actions of any other U.S. Defendant or Rakuten, Inc. As discussed above, the Complaint does not contain any allegations supporting the piercing of the corporate veil between the U.S. Defendants and/or Rakuten, Inc. Indeed, the Complaint fails to make even generic allegations regarding close business ties or overlapping personnel and operations.

と書かれています。

「以前にもIBMに説明したように、侵害に当たるとされている手段は、Rakuten Rewardsのみによって所有および運営されている。訴状に挙げられている被告のいずれもこれらを所有も運営もしていない。訴状に挙げられている被告のいずれかが上記手段を所有および運営していたと議論上仮定したとしても訴状は侵害に関する請求の記載が不十分である。米国の被告のうちいずれかが米国の被告のうちの他の被告または日本の楽天の行為に対して責任を有することを十分申し立てていないからである。上記の通り、訴状には、米国被告らおよび/または(?)日本の楽天の間における法人格否認の法理を支持する主張がない。ビジネス上の緊密な結びつきや共通する社員および業務に関する一般的な主張さえできていない。」

というような内容です。さらに、

At most, the Complaint alleges that the U.S. Defendants all share Rakuten, Inc. as an
ultimate parent. (See D.I. 1 at ¶ 16.) However, this Court has repeatedly found that the mere presence of a corporate relationship is insufficient to establish that one company is liable for the allegedly infringing acts of its relative. See, e.g., M2M Sols., 2015 WL 4640400, at *3 (“In its complaint, Plaintiff alleges the existence of a parent-subsidiary relationship. However, nowhere in its complaint does Plaintiff present facts that demonstrate the parent’s effective control over the subsidiary . . . Thus, the direct infringement claim will be dismissed.”) (internal citation omitted); BlackBerry Ltd. v. Nokia Corp., 2018 WL 1401330, at *2 (D. Del. Mar. 20, 2018) (dismissing infringement claims that “appear to be based entirely on these entities’ relationships to [a domestic defendant]” and noting that the “complaint does not state facts supporting the existence of an agency relationship between any of the Defendants, nor does it state facts that justify piercing the corporate veil”); SIPCO, LLC v. Streetline, Inc., 2018 WL 762335, *1 (D. Del. Feb. 7, 2018) (finding that even advertising a corporate relative’s accused product was “insufficient to allow the Court to draw a ‘reasonable inference’ that [defendant] is liable” for any particular infringing act) (citation omitted); Gevo, Inc. v. Butamax(TM) Advanced Biofuels LLC, 2013 WL 3381258, at *3 (D. Del. July 8, 2013) (concluding that the plaintiff had “not fulfilled its minimal requirements for pleading” direct infringement by a corporate relative because the complaint failed to “sufficiently tie” that particular defendant “to the alleged act of infringement”). Further, this Court has refused to find a company liable for the allegedly infringing actions of a corporate family member even where the companies “share[d] common branding, logos, and email address[es]” and had overlapping personnel—far beyond any relationship alleged in IBM’s Complaint. Energy Marine, 2016 WL 284432, at *1-4.

 とも書かれています。

「訴状では、米国の被告はいずれも日本の楽天が大元の親会社であることで共通していることが主張されているが、デラウェア裁判所においては、単なる企業関係の存在は、ある企業が、その関連企業の侵害行為に対して責任を有することを証明するには不十分であることが過去に何度も判断されている。」

というような内容です。そして、子会社の侵害行為に親会社の責任が問われなかった判例なども列挙されています。判例によれば、親会社が子会社を実質的に支配していることや、関連会社間の代理関係などを証明する必要がある、ということです。また、関連会社が侵害製品の広告を出すという行為でさえも侵害行為に責任があることを示すには不十分であった判例も挙げられています。 侵害とされる行為に特定の被告を十分結びつける主張が必要であることも書かれています。さらに、デラウェア裁判所では、ブランディング、ロゴ、電子メールアドレス、などのみならず一部の社員が共通する会社同士であっても、侵害行為の責任を問われなかったことがあることも指摘されています。

これで「楽天」の最初の反撃に関する記事は終わりです。

 

米国でIBMに提訴された「楽天」の最初の反撃の内容(2)

f:id:IP-related-English-helper:20210728113337p:plain


前回の記事↓ 

ip-related-english-helper.hatenablog.com

の続きです。

前回とりあげたINTRODUCTIONの次の「II. SUMMARY OF THE ARGUMENT」には以下のように記載されています。

1. The Complaint fails to allege any infringing acts performed by any of the U.S.
Defendants individually.
2. The Complaint also fails to allege facts that support piercing the corporate veil.
3. Thus, the Complaint should be dismissed under Rule 12(b)(6).

以下が和訳です。

1. 訴状には米国の被告によって個別になされる侵害行為について何ら主張がない。

2. 訴状には法人格否認の法理を支持する事実に関する主張もない。

3. よって、訴状は規則12(b)(6)により却下されるべきである。

上記1は、IBMのよる被告の特定が誤っており、各侵害行為がどの被告によってなされているのかが明らかとなるような主張がなされていないことを指摘しているようです。上記2は、親会社である日本の楽天の責任を問うために必要な子会社(米国の被告3社)の法人格の否認に関する証明が不十分であることを指摘しているのでしょうか。私の知識不足により理解不十分です・・・。


その次の「III. STATEMENT OF FACTS」について書きます。

まず、「A. IBM’s Allegations in the Complaint」のところでは、IBMが被告を一括りにしてしまっており、各被告が個別にどのような侵害行為をしているかを説明していないことを指摘しています。Rakuten Inc.とRakuten USA, Inc.とRakuten Commerce, LLCとEbates Inc. dba RakutenとをまとめてRakutenと称し、各侵害行為を挙げているに過ぎないということです。被告間の関係については“Defendant Rakuten, Inc. is a Japanese corporation, with its principal place of business in Setagaya, Tokyo, Japan. Rakuten is the ultimate parent company to Rakuten USA, Inc., Rakuten Commerce, LLC,
and Ebates Inc. dba Rakuten.”としか書いていないとしています。また、上記斜体太字の日本の楽天について言及するときも一括りにした被告4社に言及するときもRakutenとしていることも指摘しています。

次に、「B. IBM’s Refusal to Amend the Complaint」のところでは、楽天が今回のMotionを提出する前に、IBMの弁護人に被告間の関係や侵害行為とされている手段(www.rakuten.com websiteやRakuten mobile applications)の所有権や運営がどうなっているか(いずれの被告もこれらの所有、運営、オファー、販売、および管理をしておらず、しているのはEbates Performance Marketing, Inc. d/b/a Rakuten Rewardsであること)について何度か説明を試み、訴状の被告をRakuten Rewardsのみに修正するよう求めたがIBMが応じなかったため、本Motionを提出することにしたことが記されています。

続きはまた次回以降にする予定です。