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米国でIBMに提訴された「楽天」の最初の反撃の内容(1)

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前回の記事↓

 

ip-related-english-helper.hatenablog.com

から大分空いてしまいましたが、2021/5/19付けで「楽天」から裁判所に提出されたMotion to Dismiss for Failure to State a Claim(救済が認められるべき請求の記載が不十分であることを理由とする訴え却下の申立て)の内容について、今日はやっと少し触れたいと思います。

このMotionに対してIBMが修正した訴状(以下、訴状2)も2021/6/23付けで提出され、訴状2に対する応答の期限を「楽天」は9月まで延長する手続を取ったところである、というのが最新の動きのようです。なお、訴状2には、新たに2つの別のIBM特許の侵害に関する主張も追加されているようです。

上記Motionの最初の「I. INTRODUCTION AND NATURE AND STAGE OF THE PROCEEDINGS」でまず、「楽天」が主張しているのは、IBMの最初の訴状(以下、訴状1)に書かれていた被告が間違っているということです。

楽天」いわく訴状1で問題とされている手段は、Ebates Performance Marketing, Inc. d/b/a/ Rakuten Rewards (“Rakuten Rewards”)にによって所有および運営されており、訴状1に記載の被告(Rakuten, Inc., Rakuten USA, Inc., Rakuten Commerce, LLC, and Ebates Inc. dba Rakuten)のいずれによっても所有および運営されていない、とのこと。「楽天」は、この点について代理人を通じてIBMに伝えたものの、IBMは納得しなかった、というのが「楽天」の主張のようです。

この主張に対しIBMが提出した修正後の訴状2では被告がEbates Inc., Rakuten, Inc., Ebates Performance Marketing, Incの3社に変えられているようです。「楽天」が正しいと主張している被告(Ebates Performance Marketing, Inc)は加わっているものの、依然としてEbates Inc.とRakuten, Inc.が被告に含まれています。

被告が誰なのか、という点のみにおいてでさえ既に意見がかなり対立しているようです。気が遠くなりますね・・・。

そしてそうやって裁判が進行している最中にだって吸収合併などによる組織の再編成はどんどん起こり得るわけで、「楽天」はそのたびに被告が違うと主張し続けることができてしまうのではないかと思ってしまいました。

故意かどうかはともかくそんな複雑になってしまっている組織対IBMという大企業のややこしい戦いに裁判所も頭を抱えているのではないか、と余計な心配をしてしまいますが、電子商取引の分野では、こういうのってよくあることなんでしょうかね・・・。

なお、今回の反撃は「楽天」がまとめてUS Defendantsと称するRakuten USA, Inc. (“Rakuten USA”)と Rakuten Commerce, LLC (“Rakuten Commerce”), とEbates Inc. dba Rakuten (“Ebates”)の米国3社によってなされたものです。別記事↓ 

ip-related-english-helper.hatenablog.com

でも書いたように、日本の楽天(「楽天」いわくforeign defendant(海外の被告))にはその時点では訴状が届いていないことになっているため、日本の楽天がどのように対応するつもりなのかは謎のままです。日本の楽天代理人と相談しながらあえて今回のような主張をしているのか、それとも、米国の3社と日本の楽天とは互いにほとんど独立した企業であり、侵害とされている内容には本当に全く無関係という認識の上で「海外の被告」は蚊帳の外になっているのか、が楽天グループについてよく知らず、かつ素人である私にはよくわかりません・・・。

続きはまた次回以降に・・・。

 

 

 

 

IBMに米国で提訴された「楽天等」のその後の対応

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シリーズ(?)でずっと記事に取り上げてきたIBM対「楽天」の訴訟の話題の続きです。

別記事↓ 

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でも言及したように、2021/5/19付けで、被告の「楽天」からMotion to Dismiss for Failure to State a Claim(救済が認められるべき請求の記載が不十分であることを理由とする訴え却下の申立て)が提出されています。それに対してIBMが修正した訴状も2021/6/23付けで提出され、色々と動きはあったようです。

とりあえず楽天からの申立ての内容を入手できたので、IBMの訴状ばかりではなく、「楽天」の反撃の内容についても見ていきたいと思います。

資料はPACERから入手しました。PACERは、アメリカの連邦裁判所の裁判の記録が有料で閲覧およびダウンロードできる公的なサイトです。日本だとこのような便利なシステムはまだないようです。

WEB特集 ゴーン元会長逃亡事件 “極秘”捜査資料がネットに? | NHKニュース

などの記事にもこのような日米の差が書かれています。

それはともかく、「楽天」の申立ての内容を読んだ結果、この裁判について言及するときに気楽に楽天と書いてはまずいのかな、という気がしてきたので、本記事以降は「楽天」と記すことにしました。

内容をまとめるにはかなり細かい注意が必要となり時間がかかりそうなので、今回はとりあえず、「えっ!?」となった一文だけを取り上げたいと思います。

日本の楽天について言及しているところに下記の脚注が付いていました。

Rakuten, Inc., which has not yet been served with the Complaint, has changed its name to Rakuten Group Inc. However, for purposes of simplicity, Rakuten, Inc. will be used herein.

和訳すると

「訴状がまだ送達されていない楽天株式会社は、楽天グループ株式会社に社名を変更したが、わかりやすくするために、ここでは「楽天株式会社」と記すことにする。」

ということです。

2021/5/19の時点では、被告の一社であるアメリカ国外(日本)の楽天にはまだ訴状が送達されておらず、今回の反撃もアメリカ国内の被告三社のみによって提出されているもの、ということになっているようです。被告がアメリカ国外の企業の場合、翻訳文の作成も必要となることから、訴状(2021/3/29付け)ひとつを受け取るにも相当の時間がかかるということなのでしょうか。この辺の被告各社で取るべき手続とか法律について無知なので、どのような決まりになっているのかわからないのですが、この裁判、決着までには相当時間がかかりそうだな~と思ってしまいました。

続きはまた次回以降で・・・。

 

翻訳に使えるおすすめのオンライン辞書

前から気になっていた通訳翻訳ジャーナル2021年4月号を先日AMAZONで購入した。今更ながら仕事や英語の勉強に使う辞書をどうしようか悩んでいたので情報収集のためだ。

結局、以前からアドバンスド会員として利用している研究者オンラインディクショナリー(KOD)の契約更新をすることにした。

そして、こちらの通訳翻訳ジャーナルに

OneLook Dictionary Search

というオンラインの英英辞典を一括検索できるサイトが紹介されていたので、このサイトも利用してみている。今のところなかなか良いと思っている。このサイトには

OneLook Reverse Dictionary and Thesaurus

へのリンクもあって、こちらも大変便利そうなので、これからどんどん活用していきたい。

IBMの訴状を読んで覚えておきたいと思った表現や気になった表現~段落31から段落41

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先日のツイート↓

の通り、楽天は今のところは戦う気満々のように見えます。 Motion to Dismiss for Failure to State a Claim(救済が認められるべき請求の記載が不十分であることを理由とする訴え却下の申立て)を提出したそうです。この申し立ての内容はまだ入手できていませんし、このブログでは引き続きゆるゆるとIBMの訴状の内容を見ていきたいと思います。

今回もIBMの訴状を読んで仕事で使えそうだから覚えておきたいなと思った表現や、事実として気になる部分や、おやっと思ったところ、などを少しずつメモ代わりに書いていきます。

FACTUAL BACKGROUND D(段落30~41番)

段落30~37番

段落30~37番はIBMが第1特許(米国特許第7072849号)の方法を発明した経緯とその方法について説明されている部分です。

段落38~41番

別記事↓の中で

 

ip-related-english-helper.hatenablog.com

 

少し触れたように、段落38~41番は、第1特許が過去に3回も無効化の危機にさらされてきたものの、それを乗り越えてきた強い特許であることを説明していると思います。ということは、第1特許を侵害しているとしてIBMから警告を受けた会社が数多く存在することを示唆しているとも言えそうです。第1特許の対応日本特許が無いことに楽天はまずは安堵したのではないかと考えます(^^;)。

段落38~41番の中で私が興味を持った以下の3つの段落を和訳してみます。今までと比べると少し意訳の度合いが高いかもしれません。

段落38番

Before this suit, the ’849 patent had been challenged three times on grounds of alleged patent ineligibility. Those challenges were all unsuccessful. In the matter of IBM v. The Priceline Grp., Inc., C.A. No. 1:15-cv-00137 (D. Del.), the defendants (collectively “Priceline”) filed a motion to dismiss, alleging that the ’849 patent was directed to unpatentable subject matter. The Delaware court denied Priceline’s motion, finding that “Defendants have failed to meet their burden of demonstrating that . . . claim 1 of the ’849 patent [is] devoid of inventive concepts.” IBM v. The Priceline Grp., Inc., 2016 WL 626495, at *24 (D. Del. Feb. 16, 2016).

「本訴訟より前に第1特許(米国特許第7072849号)は特許適格性がないため無効であると申し立てられたことが3回ある。これらの申し立てはいずれも失敗に終わっている。2016年のIBM対The Priceline Grp裁判(1:15-cv-00137 (D. Del.))では、被告ら(Priceline)は第1特許が特許法による保護の対象に該当しないとして原告の訴えを却下すべきだという申し立て(a motion to dismissの提出)をした。デラウェア州裁判所(The Delaware courtの和訳は?)は「被告らは第1特許の請求項1が発明の概念に欠けることを立証する責任を果たしていない」としてPricelineの申し立てを否認した。」

段落39番

In the matter of Kayak Software Corp. v. IBM., CBM2016-00075, Priceline again challenged the ’849 patent on alleged patent eligibility grounds, this time before the Patent Trial and Appeal Board (“PTAB”). Just like in the district court, the PTAB rejected Priceline’s challenge. The PTAB “agree[d] with Patent Owner the disclosure of the ’849 patent itself is almost exclusively directed to solving a problem arising in computer technology (i.e., bandwidth) with a computerized solution (i.e., local storage).” Kayak Software Corp. v. IBM., CBM2016-00075, Paper 16 (PTAB Dec. 15, 2016)) at 19. The PTAB thus concluded, “Petitioner has not shown sufficiently that independent claims 1 and 21 are directed to an unpatentable ‘abstract idea’ . . . .” Id. at 20.

「Pricelineは、Kayak Software対IBM(CBM2016-00075)で今度は特許審判部(PTAB)に対して第1特許が特許適格性がないため無効であるという申し立てを再度行った。地方裁判所(= the Delaware court?)と同様にPTABはPricelineの申し立てを否認した。PTABは、「第1特許の開示内容は、コンピュータ技術(すなわち帯域幅)において発生する課題をコンピュータによる解決手段(すなわち、ローカルストレージ)で解決することをほぼ唯一対象としているという特許権者の意見に同意」した。よってPTABは「申立人は独立クレーム1および21が特許取得不可能な「抽象的概念」を対象としていることを十分証明していない。」と結論付けた。」

段落41番

In the matter of IBM v. Groupon, Inc., C.A. No. 1:16-cv-00122 (D. Del.), Groupon, Inc. (“Groupon”) moved for judgment on the pleadings that the ’849 patent was directed to ineligible subject matter. The court denied Groupon’s motion, finding that “the asserted claims for the Filepp patents are not directed to an abstract idea and are directed to patent-eligible subject matter.” IBM v. Groupon, Inc., 289 F. Supp. 3d 596, 607 (D. Del. 2017).

IBMGroupon(1:16-cv-00122 (D. Del.))では、Grouponは第1特許が特許適格性が無い内容を対象としていると申し立てた。裁判所はFilepp(第1特許の発明者の一人)によるそれらの特許は抽象的な概念に該当せず、特許適格性を有する内容を対象とするものとしてGrouponの申し立てを否認した。」

IBMの訴状を読んで覚えておきたいと思った表現や気になった表現~段落28から段落29

前回に引き続き今回もIBMの訴状を読んで仕事で使えそうだから覚えておきたいなと思った表現や、事実として気になる部分や、おやっと思ったところ、などを少しずつメモ代わりに書いていきます。

JURISDICTION AND VENUE(段落20~23)

段落20~23は、裁判管轄および裁判地に関する説明です。

FACTUAL BACKGROUND A(段落24~25番)

段落24~25は、IBMの実績について説明しています。

FACTUAL BACKGROUND B(段落26~27番)

段落26~27はIBMが特許制度を通じて自社のイノベーションを保護することに取り組んでいることを説明しています。

FACTUAL BACKGROUND C(段落28~29番)

段落28番~29番は、IBMが日常的に多くの分野で特許の使用権を認めているものの、自社の知的財産を不法に使用する者には権利行使することにしていることが記載されています。ここは既に別記事↓ 

ip-related-english-helper.hatenablog.com

で和訳した段落5番に関するより詳しい説明となっていると考えます。興味深いので、和訳してみます。

段落28番

IBM’s commitment to creating a large patent portfolio underscores the value that IBM places in the exchange of innovation, and disclosure of that innovation, in return for limited exclusivity. Indeed, IBM has used its patent portfolio to generate revenue and other significant value for the company by executing patent cross-license agreements.  The revenue generated through patent licensing enables IBM to continue to commit resources to innovation.  Cross licensing, in turn, provides IBM with the freedom to innovate and operate in a manner that respects the technology of others.

IBMが広い特許ポートフォリオを作り出すことに専念していることは、限られた排他権と引き換えにイノベーションの取引や開示をすることを重んじていることを明確に示している。実際にIBMはクロスライセンス契約を履行することにより、その特許ポートフォリオを使って収益とその他の自社の重要な価値を生み出している。特許使用許諾を通して生み出された収益によりIBMイノベーションに対して資源を投入し続けることができる。クロスライセンスによりIBMは他社の技術に配慮しながら革新し操業する自由が与えられる。」

段落29番

Given the investment IBM makes in the development of new technologies and the management of its patent portfolio, IBM and its shareholders expect companies to act responsibly with respect to IBM’s patents.  IBM facilitates this by routinely licensing its patents in many fields and by working with companies that wish to use IBM’s technology in those fields in which IBM grants licenses.  When a company appropriates IBM’s intellectual property but refuses to negotiate a license, IBM has no choice but to seek judicial assistance.

「新しい技術の開発と特許ポートフォリオの管理に対するIBMによる投資を考えれば、IBMとその株主は、IBMの特許に関して他社が責任を持って行動することを当然期待するものである。多分野における自社特許の使用権を日常的に認め、IBMが使用許諾を与える分野におけるIBM技術の使用を求める他社に協力することにより、IBMはこれを促進している。ある会社がIBMの知的財産を盗用しつつもライセンス交渉に応じない場合、IBMとしては司法の助けを求めせざるを得ない。」

 

IBMの訴状を読んで覚えておきたいと思った表現や気になった表現~段落15から段落19

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 前回に引き続き今回もIBMの訴状を読んで仕事で使えそうだから覚えておきたいなと思った表現や、事実として気になる部分や、おやっと思ったところ、などを少しずつメモ代わりに書いていきます。

THE PARTIES(段落15番~19番)

段落15番~19番は、この訴訟の当事者である原告および被告の説明です。(NATURE OF THE CASEという項目における段落14番は侵害されていると主張されている特許の番号が記載されているだけであり、既に別記事にまとめた内容ですので割愛しました。)

段落15番

Plaintiff IBM is a New York corporation, with its principal place of business at 1

New Orchard Road, Armonk, New York 10504.

「原告IBMニューヨーク州の会社であり、その主たる事業所はニューヨーク州アーモンクの~に在る。」

段落16番

Defendant Rakuten, Inc. is a Japanese corporation, with its principal place of business in Setagaya, Tokyo, Japan. Rakuten is the ultimate parent company to Rakuten USA, Inc., Rakuten Commerce, LLC, and Ebates Inc. dba Rakuten.

「被告である楽天は日本の会社であり、その主たる事業所は日本の東京都世田谷区に在る。楽天はRakuten USA, Inc.と、Rakuten Commerce, LLCと、Ebates Inc. dba Rakutenとの最終親会社である。」

段落17番

Defendant Rakuten USA, Inc. is a Delaware corporation with its principal place of business at Rakuten Crimson House West 800 Concar Drive., San Mateo, California, 94402.

「被告Rakuten USA, Inc.はデラウェア州の会社であり、その主たる事業所はカルフォルニア州サンマテオの~に在る。」

段落18番

Defendant Rakuten Commerce, LLC is a Delaware corporation with its principal place of business in San Mateo, California.

「被告Rakuten Commerce, LLCはデラウェア州の会社であり、その主たる事業所はカルフォルニア州サンマテオに在る。」

段落19番

Defendant Ebates Inc. dba Rakuten is a Delaware corporation with its principal place of business at 160 Spear Street, Suite 1900, San Francisco, CA 94105.

「被告Ebates Inc. dba Rakutenはデラウェア州の会社であり、その主たる事業所はカルフォルニア州サンフランシスコの~に在る。」

 

IBMの訴状を読んで覚えておきたいと思った表現や気になった表現~段落7から段落13

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前回に引き続き今回もIBMの訴状を読んで仕事で使えそうだから覚えておきたいなと思った表現や、事実として気になる部分や、おやっと思ったところ、などを少しずつメモ代わりに書いていきます。

INTRODUCTION(段落7番~13番)

段落7番~13番は、IBMが約6年にわたり、楽天によるIBM特許の無断使用について楽天との話し合いをしようとしたものの楽天が応じようとしなかった経緯を説明している部分です。

段落7番

For almost six years, IBM has tried to negotiate with Rakuten about Rakuten’s unlicensed use of IBM’s patents. Dozens of similar companies, including Amazon, Apple, Google, and Facebook, have agreed to cross licenses with IBM. Unfortunately, Rakuten is not among them. Instead, to this day, Rakuten has chosen to willfully infringe IBM’s patents and even expand its infringing activity.

「6年近くもの間、IBM楽天によるIBM特許の無断使用に関して楽天と協議しようとしてきた。AmazonAppleGoogle、及びFacebookを含む何十もの同様の会社がIBMとのクロスライセンス契約に同意済みである。残念ながら、楽天はそれらの会社に該当しない。それどころか、楽天IBM特許を故意に侵害すること、さらにはその侵害行為を拡大することを選択してきた。」

 段落8番

Rather than negotiate with IBM, Rakuten has used a series of delay tactics. In July 2015, when IBM first informed Rakuten that its subsidiaries were infringing IBM’s patents, Rakuten refused to take responsibility for the companies it controlled and told IBM to contact each of them individually. Then, Rakuten refused to meet with IBM by ignoring IBM’s messages, claiming vague scheduling conflicts, or deflecting responsibility from one Rakuten representative to the next.

楽天IBMと協議せずに一連の遅延作戦を使ってきた。2015年7月にIBMが、楽天とその子会社らがIBM特許を侵害している旨を最初に楽天に通知した際、楽天は自身が管理する子会社に対する責任を負うことを拒否し、各子会社に個別に連絡を取るようにIBMに伝えた。そして、楽天は、IBMからの連絡事項を無視したり、スケジュールの調整がつかないことを曖昧に主張したり、責任を楽天内の担当者から担当者へと次々にそらしたりすることで、IBMと会うことを拒んだのである。」

 段落9番

Two years later, in 2017, IBM finally had the opportunity to present detailed evidence of Rakuten’s infringement. In response, Rakuten refused to explain why it continued to infringe IBM’s patents. When that approach was no longer tenable, Rakuten raised objectively unreasonable excuses for why it refused to negotiate. When IBM pointed out that Rakuten’s excuses were flawed and included arguments that had been rejected in court, Rakuten reverted to delay tactics. In one instance in 2018, Rakuten finally agreed to meet with IBM after months of haggling over the attendees and the topics to be discussed, only to cancel at the last minute.

「2年後の2017年にIBM楽天の侵害に関する詳細な証拠を提示する機会をやっと得た。それに対し、楽天は、何故自社がIBM特許の侵害を継続しているかについて説明することを拒否した。このような手法が維持できなくなると楽天は自社が協議を拒否する客観的に不合理な言い訳を持ち出した。楽天の言い訳には欠陥があり、裁判で既に却下された(rejected in courtの訳?)主張を含むことをIBMが指摘すると、楽天は遅延作戦に立ち戻った。一例として、2018年に、楽天は何か月にもわたり出席者や協議内容について交渉してきた挙句にようやくIBMと会うことに同意したが結局、土壇場でキャンセルしたのである。」

段落10番 

Rather than address its infringement of IBM’s intellectual property, Rakuten attempted to strong-arm IBM by threatening existing relationships between the companies. Rakuten said it would blacklist IBM from future business opportunities if IBM did not drop the issue. Through this tactic too, Rakuten attempted to deflect responsibility from its own wrongful conduct.

「自社によるIBM知的財産侵害に対処せずに楽天は自社とIBMとの間の既存の関係に関してIBMを脅そうとした。楽天は、IBMがこの論争を撤回しなければ将来のビジネスチャンスからIBMを除外すると述べた。この戦法を通じても、楽天は自社の不正行為からの責任をそらそうとしたのである。」

段落11番 

Over the years, IBM has discovered that Rakuten infringes additional IBM patents. IBM has informed Rakuten of its expanding liability for willful patent infringement across its subsidiaries but has been continually met with delay and excuses. This conduct clearly demonstrates Rakuten has never taken the issue seriously.

「ここ数年にわたりIBM楽天がさらに別のIBM特許を侵害していることを発見した。楽天の子会社でなされている故意の特許侵害に対して拡大している楽天の法的責任についてIBM楽天に通知してきたが、IBMは継続して遅延と言い訳をもって迎えられてきた。この行為は楽天がこの問題を決して真摯に受け止めることがなかったことを明らかに示している。」

 段落12番 

After years of delay and excuses, Rakuten changed tactics. Rakuten told IBM that it had hired outside legal counsel and would no longer talk to IBM directly. In effect, Rakuten told IBM: “we will not deal with this issue; talk to our lawyers.” That decision made it nearly impossible to resolve this matter through business negotiations. IBM has urged Rakuten to reconsider many times, yet Rakuten refused IBM’s invitations to explain Rakuten’s infringement and to discuss an amicable business resolution.

「長年にわたる遅延と言い訳の末、楽天は戦法を変えた。自社が社外弁護士を雇いIBMと直接話すことは今後なくなる旨を楽天IBMに伝えた。事実上、楽天はこのようにIBMに言い渡したのだ。

『この問題に我々が対応することはない。我々の弁護士に話をしてほしい。』

この決定により、ビジネス上の交渉を通じてこの問題を解決することはほとんど不可能となってしまった。IBMは何度も楽天に考え直すように依頼したが、IBMが促した、自社の侵害についての説明や友好的なビジネス上の解決方法についての議論をすることを楽天は拒否した。」

 

 段落13番

After almost six years without meaningful progress toward a resolution, IBM has brought this lawsuit to finally end Rakuten’s unauthorized use of IBM’s patented technology.

「解決に向かう意味ある進展がないまま、ほぼ6年後にIBMは、楽天によるIBM特許技術の無断使用をついに終わらせるためにこの裁判を起こした。」